介護に導入されているＩＴ技術について

超高齢化社会であり、介護士不足の今日において、介護士だけでは日々の業務遂行困難な状態と言っても過言ではありません。

しかし、介護とIT技術の併用というのは、あまり理解されていない部分も多く、介護の現場では活用されていないことも少なくありません。このような状態の中、介護にIT技術を導入し、介護士の負担を減少しようと努力している施設も出現しています。
ここでは、介護に導入されているIT技術について、ご紹介いたします。

高齢者の動きに合わせたセンサー

病院や施設などにおいて、高齢者がベッドから降りた際に、ナースコールなどで知らせることができるセンサーを、見たことがある方は多いのではないでしょうか。

高齢者の身体能力が低下しており、転倒する危険性が高い高齢者などに対し、このようなIT技術を利用したセンサーを利用していることが多いです。
これは、高齢者の安全を守る一方で、介護士が常に見守ることができない現状を、ナースコール等により知らせる働きがあり、少ない人員で高齢者の状態を把握するものとなります。

また、高齢者の状態や病態などに合わせて、ベッド上から動いたときにセンサーが作動する物や、ベッドから起き上がり立ち上がったときに作動する物、さらには部屋から出たときに作動する物などがあります。
これらを、介護士や看護師など、高齢者に携わる介護職で話し合い、利用を検討していきます。

排泄お知らせセンサー

高齢者は、自身の排泄がわからなくなることもあり、おむつの中で排泄を済ませてしまうことがあります。また、認知症の進行などに伴い、排泄したいということはわからなくても、おむつ内が気持ち悪いことにより機嫌が悪くなるなど、介護介入が難しいこともあります。

そこで、おむつ内に排泄物が出た際などにお知らせするセンサーがあり、排泄したらすぐに介護士が把握することができ、取り換えることができます。おむつ内が常に清潔でいることにより、高齢者の精神状態の安定だけではなく、皮膚状態も安定して生活することができます。

また、いつ排泄するかわからない状態で、何度もトイレ誘導を行うことや、おむつ内を確認することは、介護士にとって負担が大きいだけではなく、高齢者の羞恥心も損なってしまいます。そのため、このような排泄センサーのようなIT技術を利用し、高齢者の心身の安定を図る方法もあります。

介護者の腰痛緩和ロボット

介護を行っている介護士にとって、腰痛を引き起こしてしまうリスクは高く、腰痛に悩んでいる介護士も少なくありません。そこで、IT技術において腰痛緩和のためのロボットが開発されており、介護者の負担を軽減する働きが増えています。

介護者が腰痛になる原因の一つとして、高齢者をベッドから車いすなどへの移動などがあります。このような移動の際に、介護者にかかる負担を軽減し、腰痛緩和を求めています。さらに、入浴介助など身体だけではなく精神的にも負担がかかる作業などの際には、介護ロボットを導入し介護者の負担を軽減することができます。

高齢者のお話し相手になるIT技術

高齢者は、常に誰かと話をしたいという気持ちを持っていることが多く、寂しい気持ちを抱いている高齢者も少なくありません。しかし、介護士が一人の高齢者に携える時間は限られており、ゆっくりとお話をしてあげること自体も難しいのが現実となります。

そこで、IT技術を利用したぬいぐるみなどは、高齢者の介護にとても役に立つものとなります。例えば、言葉を教えることにより、ぬいぐるみが言葉を話せるようになると、高齢者はますますそのぬいぐるみに声をかけるようになります。そうすることで、ぬいぐるみとのコミュニケーションを図ることができ、高齢者の寂しさを緩和することができます。

さらに、ぬいぐるみに対して精神的な不安などを打ち上げ、その不安を介護士が知ることができることにより、介護の現場において高齢者に何が必要なのかということを検討していくことができます。

まとめ

介護とIT技術は、全くちがうものと考えてしまいがちですが、実はすでに利用しているIT技術がたくさんあります。また、そのIT技術により高齢者も介護者も支えられていることはたくさんあり、IT技術の進歩に伴いさらに介護者の負担は軽減される可能性があります。

しかし、IT技術のみで介護を行うことには限界があり、やはり人としての介護は必要不可欠となります。そのため、IT技術をうまく活用し、介護者の負担を軽減し、軽減できた介護者の時間を更なる高齢者の心身の安定に利用することができたとき、高齢者が安定した生活を送ることができます。

このように、高齢者が増加し、介護士不足が懸念されている今日において、IT技術は介護の現場にとって重要な役割を担っており、高齢者が安心して生活を送るために日々開発されています。これらを、介護の現場においてうまく活用し、介護者の負担も軽減していくことが、これからの介護業界において重要なことになります。