介護士のお仕事
福祉用具はなぜ高いのか?その理由について徹底解説
- 2017.11.23 @ 新着
- 介護士のお仕事
超高齢者社会が進み、介護介では多くのサービスが生まれ、未だ不十分な部分があるにしろ、多様な事情に応えられるようになってきました。
その背景には、介護保険法やそれに沿った施設・事業所などの設置が大きな要因としてありますが、介護業界の成長とともに発展し、知恵と工夫によって要介護者の生活を広く支えている、福祉用具の存在も忘れてはならないでしょう。
しかし「今の状態に最も適した用具を揃え、最善の環境を整える」ことは非常に難しいです。
その理由はお金です。福祉用具は高いので、何でも揃えることは簡単ではないのが普通でしょう。
需要があり、要介護者にとって必要なものであるにも関わらず、どうしてこんなにも高価なのでしょうか。
物の価値と出せる金額~実は高くない消耗品
例えば、市販の履くタイプのおむつは、大人用30枚を買おうとすると2000円はしますが、赤ちゃんの物なら2000円あれば150枚は買うことができるでしょう。
こう考えるとものすごく高いような気になりますが、これから成長していく子供と、老いていく大人では、おむつに求めることが違います。
あまりにもサラサラで心地よいおむつでは、子供がトイレを覚えず困りますが、大人は今から覚えるわけではありませんし、履き心地は大切です。体のサイズも違いますし、排泄物の量や臭い対策、交換できるタイミングも違いますので、同じ「おむつ」であっても機能が全く別物です。今日の大人用おむつは高機能なのです。
中にパッドを入れて上手に使えば、子供のように毎日たくさん使わなくても良い場合もあります。
一月2000円でハイクオリティな技術を利用し、トイレの悩みから解放又は軽減されると考えてみると、とても安いような気がしてきませんか。
消耗品以外はやっぱり高い
おむつの場合は消耗品なので大量生産によりコストを抑え、安く提供することができますが、「福祉用具」の代表とも言える、車椅子ではどうなるでしょうか。
昔よりは安くなってきましたが、病院などに置いてある一般的なものでも、一台3万円程度はします。生活に必要なものだというのに、高価ですよね。
そもそも高いですし、どの程度使うのかも見通しが付きにくく、簡単には購入しない方がほとんどでしょう。
病院にいる間は病院の備品を使えますし、施設にお世話になることになればそれもまた施設の備品を使うことができます。
家族介護で必要性があれば、レンタルもできますから、その方が賢い場合も多いです。
世の中に必要性があるのに、たくさんは売れないわけですから、価格を下げるのは難しいのです。
大量生産ができないことが一番の要因
大量生産ができないことが理由で価格を下げることが難しいのは、車椅子に限らずほとんどの福祉用具に当てはまることです。
例えば、手が不自由で食事の自己摂取が難しい方のための「持ちやすいスプーン」などがありますが、手の不自由が理由で食事が摂りにくい方がどのくらいいるでしょうか。また、その「持ちやすいスプーン」が実際に持ちやすいという方の人数は、もっと少ないはずです。
どのような理由で、手のどの部分がどう不自由なのかは、人それぞれだからです。
段差をなくすスロープや台も、どこに設置するのか、それをどう乗り越えるのかによって、角度や高さ、形状が違います。
多くの人がより良い生活を送れるよう、カタログには様々なタイプが載っていますが、それらの一つ一つの販売数は、多くはないのです。
安全への配慮がさらに価格を増す
福祉用具はそもそも「身体の不自由な方」が使うよう作るものですから、身体が不自由であっても安全に使えるように作ります。福祉用具による事故があってはならないのです。
例えば普通のお風呂で滑って転んでもメーカーに訴える方はいないと思いますが、使う人の状態に合わせて安全に作った浴室を適切に使って滑って転んだのでは、時には法に訴えることだってあるでしょう。
訴えられるばかりか、良かれと思って作ったものが人の命を奪ってしまうことがあるかもしれません。
このようなことが無いよう、安全には特に注意し、多くのテストをおこない、慎重に作られます。このような部分にかかるコストもあるのです。
まとめ
福祉用具が高い一番の理由は、大量生産大量消費の物品にはできないことです。
今後一生使うとも限らず、そもそも高価なため、必要があれば施設などの備品を借りるかレンタルをする方が賢い場合が多く、たくさんは売れません。
しかも、一つの商品が誰にでも合うということはなく、その人の状態や環境に合ったものが必要とされますので、大量に作ってみんな同じものを使うというわけにはいきません。その「状態」がいつまで続くのかも見通しが付きにくく、購入する決意ができにくいものです。
第二の理由は、安全への絶対的な配慮です。福祉用具を謳うからには、事故があってはならないのです。
このような理由から、福祉用具は高く、なかなか価格が下がらないのです。
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